よしぶえ No.27 2000 AUTUMN

ススキ遊び

詩:滝本明 写真:細川和昭

涼風に揺れ光る穂先(赤川地区)

あれは秋の手 恋を呼ぶユウラリア
くすくす笑うタカノハススキ
いと恥ずかしイトススキ
海辺の馬がくわえたハチジョウススキ

ユラユラサヤサヤ 風の綾取り
アカネ飛ぶ 空の下
イネの姉 ススキのかんざし
涼しげススキ ススキの続き

人は好き好き
ズキズキススキ
こころはいつもカヤのそと
ユラユラサヤサヤ揺り揺られ

【ススキ小辞典】
稲科の多年草。観賞用品種・国外=ユウラリアeulalia、日本=タカノハススキ、イトススキ。語源説・スクスク生い立つキ(草)涼シキの略・サヤサヤの義。古語でカヤ。

目次

淀川河川公園ニュース イベント案内 淀川歴史散歩 淀川河川公園と私

城北地区の実験ワンド

淀川は、数多くの生き物たちの住まいとなる豊かな自然環境に恵まれています。 中でもワンドは天然記念物イタセンパラの生息域で生き物たちにとって、また私達にとって、大切な自然環境が残されています。この貴重な水辺の環境を保存し、また動植物たちの最適な場とするにはどのような河川環境が良いのかを知るために、城北地区(城北ワンド群の上流)に新たな人工の実験ワンドを昨年つくって、魚や貝・植物などの調査研究を行っています。ゴミを捨てることによりワンドの水質を悪くし、魚や貝が死んでしまいます。不法耕作等によるヨシ原の破壊は、貴重な鳥などのすみかを脅かし、昆虫類・爬虫類・水際の生物にも悪影響をもたらします。この恵まれた貴重な城北ワンド群を守っていくために、皆様のご協力をお願いします。

魚種も増えてきた実験ワンド

淀川河川公園ニュース

烏飼下地区 サッカー&フットサルコートOPEN

この夏(8月19日)開園した淀川河川公園鳥飼下地区で、「サッカー&フットサルコートOPENフェスタ」が催されました。同地区は、淀川河口から20kmの右岸にあり、中流域の緑豊かな風景に鳥飼仁和寺大橋が美しい姿を見せるその南側にあります。オープンしたサッカーコート1面・フットサル(5人制ミニサッカー)コート2面は、砂入り人工芝に白いラインが鮮やかな国際規格の本格的なもの。

オープン式典は9月24日(日)午前9時30分から始まり、地元摂津市の少年サッカー4チームとその父兄の総勢400余人が参加。プロサッカーチームの「セレッソ大阪」「ガンバ大阪」の招待コーチ・選手8名の紹介の後、くすだま割りが行われました。

10時からは「サッカー教室」。セレッソの梶野智、ルイス・アントニオ・メシアスコーチ、ガンバの曽根純也、乗松隆史コーチ他の指導で、参加の少年たちはプロの基本技術の説明に熱心にその習得に取り組んでいました。

11時30分からは、吉本興業の若手芸能タレント8名、プロ選手2名による混成のフットサルの模範試合20分が行われ、タレントたちの意外な好プレー・珍プレーに笑いと拍手に会場が湧きました。引き続きお昼過ぎまで、少年たちによる「紅白玉入れ大会」「綱引き大会」「餅つき大会」と盛りだくさん。つきたてのお餅や参加景品、プロ選手のサインをもらい、みんな嬉しそう。

当日は、前日の雨も上がり終了間際のにわか雨をのぞき絶好のサッカー日和。シドニーオリンピック女子マラソン金メダルの速報や昨夜の日本サッカーチーム惜敗の余熱もあって、楽しいフェスタの雰囲気に盛り上がりました。

サッカー・フットサルコートのお申し込み・お問い合わせは
(財)河川環境管理財団 鳥飼サービスセンター  TEL.0726-54-9800 へ。

緑あざやかなサッカーコートとフットサルコート(奥)
妙技を見せたタレントたちのフットサル
熱心に指導するメシアス・コーチ

第62回 淀川の自然を楽しむ会

8月27日(日)十三野草地区で「干潟で遊ぶ」をテーマに淀川の自然を楽しむ会が催されました。当日は朝から気温が上昇し、日中は35度を越える暑さになりました。参加者は子供・大人併せて80名。10時過ぎには水位も1mほど下がり、絶好の干潟になりました。指導員の説明を受けた後、5グループに分かれて観察開始。干潟に足首まで埋まった子供たちは大はしゃぎで、泥だらけになりながら貝・エビ・魚採りに夢中になっていました。捕獲した干潟の生物を調べるとウナギ(30cm)・ハゼ(18cm)・テナガエビ・アシハラガニ・シジミなどに混じって、淀川では珍しいオサガニ・ハクセンシオマネキも見つかりました。

干潟に足をとられる子ども達

LOVE遊-淀川キャンペーン-淀川”わんど”クリーン大作戦

7月は河川愛護月間。「きれいにしよう!みんなの”わんど”」を合言葉に7月16日(日)、淀川左岸の城北わんどで”わんど”クリーン大作戦が催され、参加者全員でわんど周辺の清掃が行われました。清掃後は、笑福亭三喬氏らパーソナリティをまじえて、水辺植物・水生生物・野鳥の専門家によるトーク・ショウ。「実験わんど(本旨1p参照)」での生態の話や、1平方メートル内のわんどのゴミの山に感心したり驚いたり、水辺の環境を考える有意義な1日でした。また、参加者全員にイタセンパラのイラスト入りTシャツがプレゼントされました。

長い柄の熊手でワンド清掃

枚方地区・噴水池で灯籠流し

8月27日(日)、枚方地区で「第25回枚方まつり」が行われました。夕暮れの水辺の”涼”と打ち上げ花火を求めて、1km余りなだらかに続く緩斜面堤防や芝生広場には、多数の人々が集まりました。中でも、30年ぶりに復活した淀川の風物詩”灯籠流し”は、環境に配慮して噴水池で行われ、参加者の願いを書いた1000個の灯籠(縦20cm横40cmの筒状の紙と皿)が、ほのかな明かりに揺れて水面に浮かび上がり、その幻想的な情景に参加者は感動のひとときを過ごしていました。

枚方地区・噴水池の灯籠流し

一津屋・鳥飼下両地区に管理所開設

10月1日(日)から一津屋・鳥飼下の2地区に管理所が新たに開設され、利用者の安全面や運用面などを管理するために、公園の巡視業務が行われます。一津屋管理所は一津屋野草地区・一津屋河畔地区・鳥飼西地区の3箇所、鳥飼下地区管理所は鳥飼下地区・鳥飼野草地区の2箇所が管理エリアになります。

イベント案内

10月1日(日)~31日(火)

都市緑化月間”淀川河川公園マナーアップ・キャンペーン”

10月4日(水)

淀川河川公園テニス・トーナメント/女子ダブルス(鳥飼上地区)

10月6日(金)~9日(月)

近畿都市緑化祭(京都市梅小路公園)

10月15日(日)

淀川河川公園テニス・トーナメント/小学生シングルス(外島地区)

10月21日(土)~22日(日)

秋の緑化祭「植木市」(守口地区)

10月29日(日)

第32回淀川河川公園仁和寺パター競技会
(仁和寺野草地区・仁和寺ローンプレイフィールド)

11月上旬

第16回淀川河川公園ゲートボール大会
(仁和寺野草地区・仁和寺ローンプレイフィールド)

11月5日(日)

第4回大阪・淀川市民マラソン(枚方地区)

11月19日(日)

第63回淀川の自然を楽しむ会”海に近い川”(海老江地区)

12月10日(日)

第6回淀川河川公園リレー・マラソン(太間地区)

淀川歴史散歩―第13回― 十三(じゅうそう)とその周辺

記:滝本明

「十三」の起源と立森瑞神(ずいじん)

十三の名前の由来は、大化改新の詔(646・天皇のお言葉・日本書紀)のとき、土地区画法として「条里制」が採用され、それに基づくものと言う説があります。条里制は、60歩四方を里といい、この6町方眼を連ねて行き、横(東西)列を条、縦(南北)列を里として計算しました。西成郡飛田を1条とし、北へ順に重ねていくと13条目が今の十三に当たり、更に北へ18条は今も地名で残っています。また別の説では、淀川の上流から数えて13番目の渡し場が今の十三辺りになるといいます。(阪急電車十三駅付近)。木川西四丁目にある「立森瑞神(縁起のいい神)」は、大正の頃から”野中の巳(み)さん(高倉大明神)”として人々に親しまれ、また石の小狸三体(オタケ・八郎・長吉大明神)があって、巳さんは商売繁盛、お狸さんは安産・病気平癒に効くとあって、参拝者が絶えません。

同公園内には、明治29~39年(1896~1906)にヨハネス・デ・レーケ指導の新淀川開削を記念した「淀川改修記念碑」もあります。この工事で当地区海老江村北部の90町余が新淀川河床になりました。阪神電車野田駅歩10分JR東西線海老江駅徒歩5分。

立森瑞神

光用寺と中島大水道図

北中島は古来しばしば淀川・中津川・神崎川の氾濫の被害を受けていました。悪水排除が困難で住民の苦しみが大変なため、関係する22カ村のうち、大道村の沢田久左衛門・新家村一柳太郎兵衛・山口村の西尾六右衛門の三庄屋は、水道開削の願書を度々江戸幕府へ出しました。やっと出た許可は工事費一切地元負担という過酷なもの。再度の願いに許可も取り消されやむを得ず、農民たちは22カ村結束して、延宝6年(1678)、着工からわずか50日の突貫工事で、現東淀川区から淀川区を抜け西淀川区に至り大阪湾に直結する2里10余町(全長約9.5km巾19m)の大水道を完成しました。しかし、許可無視の責任を受けた3庄屋は1カ月後に切腹。人々の壮挙は、明治の淀川大改修までの約230年間、その機能は失われず北中島に恩恵をもたらしました。「光用寺」は西中島7丁目にある僧行基開祖の浄土真宗の寺で、3庄屋の菩提を弔うため六右衛門の祖母が難病の人々を救った言い伝えがあります。

同境内の石の3狸

正通院(しょうつういん)と蔀関月(しとみかんげつ)

地下鉄御堂筋線「西中島南方」駅と阪急電車「十三」駅の間の東西方向に淀川通りが走っています。途中、淀川寄りの木川東一丁目(市バス停・木川西二丁目から徒歩5分)に「正通院」があります。江戸中期の延享三年(1746)創建の曹洞宗寺院で、境内の墓地に、大坂の画家「蔀関月」や大坂天満組・南組の総年寄りを歴任した金谷三石、その子息で歌人の金谷遷斎の墓があります。関月は絵の修行とともに和漢の古蹟を研究して「法橋(ほっきょう)(得の高い僧や画家などに贈られる)」に叙せられました。多くの著書の中に「伊勢参宮名所図会」「山海名産図絵」「近江名所図会」「須磨明石名所図会」などの名所紹介図を残しています。杉本章子の小説「写楽まぼろし」にも写楽の治助が放浪の途中大坂の本屋に勤めたその若主人として登場。寛政9年(1797)51歳で没。

蔀関月墓所のある正通院

淀川河川公園と私

大好きだ!夢とロマンと感動を秘めた凧が空に舞う

和凧には千年の歴史と伝統があります。全国各地に伝わる和凧は300点を超え、これら和凧に秘められた夢とロマンと感動を21世紀の世代へ引き継ごうと日夜努力しています。私が所属する"日本の凧の会"は1969年11月に設立。以来、毎年全国各地で凧上げ大会を開催してきました。

30周年を迎えた昨年は"日本の凧の会"が主催する春の国際凧揚げ大会が石川県内灘町で、また秋の全国大会が大阪で催されました。中でも淀川河川公園太間地区で行われたこの秋の全国大会は「大阪にオリンピックを」と一般・会員を併せ約3,000の人々が集まり記念大会として盛大に繰り広げられました。この日は50畳敷の大阪オリンピック招致PRの大阪大凧や滋賀県無形民族史料に指定されている100畳敷の八日市大凧など、なかなかお目にかかれない珍しい凧1,000点以上が空に舞い観客の歓声をあびました。この大会や20周年大会を含め淀川河川公園での開催は3回目。北海道から鹿児島まで全国から集まった会員に安定して吹く風・凧揚げに適した広さなど、淀川河川公園が年中楽しめる場所として大いに印象付けられました。

全国の凧の会会員数は1,527名。大阪支部会員はアメリカ人4名を含め現在40名が在籍し、毎月第2日曜日にフリースタイルの凧揚げを淀川河川公園太子橋地区で行っています。毎回、支部会員が新作凧を披露したり、製作の意見交換や技術交換をして和気藹々日の暮れるまで楽しんでいます。会の活動は幅広く海外ではマレーシアや韓国での国際大会に参加、ドイツでの日本文化紹介の凧作り教室・凧揚げ指導、アメリカ・カリフォルニア州では大阪府主催の凧作り教室・凧揚げ指導などを行っています。また外務省国際交流センターでの外国人向け和凧作り教室では墨で描いた武者絵に色付けをしますが、それぞれ配色が異なり国柄の差が出て大変楽しませてくれます。毎年9月第2日曜日は"世界の空はひとつ"を合言葉に全世界で一斉に凧揚げ。大阪支部もこのアメリカ・カイト・クラブに登録し凧揚げの輪を広げています。

大阪支部の活動で大きな柱のひとつが凧作り教室。毎年10月から年末まで大阪府全域で、子ども会・学校・教育委員会などを通じて約8,000人の子ども達に凧作りを教えています。凧作りで接する今の子ども達はナイフの使い方や糸を結ぶことが満足にできません。そんなことをさせる家庭や学校も少なく、代わりに私達会員が子ども達に教えていくのも活動の内と思っています。また、凧作りに続き年明けには凧揚げ指導も行っていますが、市街地の関係者は子ども達の引率や交通の問題、狭い場所での安全性など頭を悩ませるのが日常的です。その点、淀川近くの関係者はゆったりした河川敷内が利用でき、淀川河川公園の良さを認識させてくれます。

2月の淀川河川公園は(財)河川環境管理財団主催の凧揚げ大会・寝屋川市主催のウィンターフェスティバル・枚方市主催の市民凧あげ大会など大きな凧揚げ大会が恒例の行事になっています。年に一度、凧作りや凧揚げをきっかけに子と親と老人3世代が触れ合い、また子ども達は友達を増やしマナーを身につける-そんな場を通じて心の余裕を生み出しのびのび楽しんでいただくことが何よりの願いです。それが千年の歴史と文化を次期世代に伝え、凧文化を守っていくことと思っています。

凧揚げは冬だけではなく、風があれば年中楽しめます。

橋本 正夫

30周年大会で挨拶する筆者と凧の会が制作した「新・淀川の大凧」

ナンバー13

橋本 正夫(はしもとまさお)
昭和21年10月30日大阪生まれ。株式会社椿本チェーン勤務の傍ら昭和53年より日本の凧の会大阪支部長を勤め、国内外に文化交流の一環として和凧を紹介。凧を通じて平和な明るい社会創りに貢献するのがモットー。

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