よしぶえ No.29 2001 SPRING

ツタンカーメンの花

詩:滝本明 写真:細川和昭

春の淀川河川公園はどこも花畑(大塚地区)

僕が 気づかずに踏みつけてしまうもの
そして君が 何げなく踏み込んでしまっている所
かつて 老いた兵士のような詩人が教えてくれたことは
(花ひらく野に出ても 敵は敵 ※

でも僕は
(古代に暗殺された若い王の 妻が供えた野アザミ一本
それがドライフラワーになっていた
エジプトの話も好きだったのだ

花が一筋の記憶の道なら
今日僕は 誰のこころに迷い込んだのだろう
(花一本 心一本 召しませ花を…
ツタンカーメンの妻が 古いフィルムのように歌っている

※小野十三郎詩集「異郷」から冬の光を探している

目次

淀川河川公園ニュース イベント案内 施設使用料表 親子3人「淀川源流」旅日記 淀川河川公園と私

淀川の距離標識

淀川の堤防両岸には河口からの距離を示す標識が立っています。以前からある標識は背が低く夏草に見え隠れしていましたが、昨年、背の高いものに生まれ変わり、散策する人の目を惹いています。標識の高さは約70cm、間隔は1km毎。細長い台形状をした標識側面の川側には「淀川距離標○km」反対側には「河口から○km」、下流側には「よどがわ」上流側には「淀川」と刻まれ、「よどがわ・淀川」という文字の筆者名がそれぞれに記されています。

城北ワンド近くの13km距離標

淀川河川公園ニュース

第64回 淀川の自然を楽しむ会

2月25日(日)、淀川河川公園伊加賀野草地区で「草や木と遊ぼう」をテーマに、淀川の自然を楽しむ会が行なわれました。参加者は子ども17名・大人74名の総勢115名。数班に分かれて、アシ・クズ・カワラヤナギが群生する野草地区を観察しました。葦原にトンネルや秘密の基地を作る低学年の子ども達、カワラヤナギに絡んだ長いクズのつるを引っ張る大人達などで大にぎわい。子どもも大人も、時間のたつのを忘れて遊びに一生懸命でした。中でもカワラヤナギの中で冬眠するマルハナバチ(体長約3cm)やテッポウ(カミキリムシの幼虫・体長約7cm)を見つけたときは、気持ち悪いそぶりをしながらもシゲシゲと観察。昼時しばらくの間、横殴りの雪が降る寒い1日でしたが、ノコギリで木を輪切りにして鍋敷きを作っていた人達はうっすらと汗をにじませていました。

葦笛の変わった音色に大喜び

第23回 寝屋川ウインターフェスティバル

2月18日(日)、昨日までとは打って変わって暖かな日和の中、淀川河川公園太間地区で寝屋川ウインターフェスティバルが開催されました。今年は「架けよう夢橋 元気 ねや川」をテーマに、雪の広場・ふれあいの広場・遊びの広場・消防の広場など9広場、25のコーナーが設けられ、多数の市民が集いました。とくに人気があったのは、雪の広場と消防の広場。朝に滋賀県からダンプ7台で運んだ雪の山には、黒山の人だかり。雪を掘ったり、雪ダルマを作ったり、ズボンが濡れるのも気にせず滑り台のように遊ぶ子ども達でいっぱいでした。また、約20mの高さまでハシゴを上げたシュノーケル車にも長蛇の列が。堤防の向こうに広がる寝屋川の街並み、京都大山崎付近まで見える淀川の流れは圧巻で、大きな歓声があがりました。10時に始まったフェスティバルも3時に終了。その後も広い公園のあちらこちらで遊ぶ家族連れが目に付きました。

はしご車から淀川を展望

第6回 淀川河川公園凧揚げ大会

2月4日(日)、淀川河川公園太間地区で凧揚げ大会が行われ、午前9時半には縦7m×横4.5m(20畳敷き)の「淀川の大凧」が舞い上がりました。この大凧はこれまでの竹&和紙製の凧に代わって昨年6月に新調されたもので、布地2枚張りのフトン凧と呼ばれています。わずかな風でも揚がるのが特徴で、この大会が初揚げとなりました。一番人気は和凧プレゼントコーナー、午前と午後の2回に分けて1,000枚の和凧が配布されました。また、手作り凧コーナーも早くから家族連れや友達同士でいっぱい。上手にできた手作り凧には多数の賞品が手渡され、子ども達も大喜びでした。昼頃からは風にも恵まれ、新しい「淀川の大凧」や小さな和凧が舞い上がり、凧揚げを指導する「日本の凧の会」のメンバーと子ども達が一体となった楽しい冬の1日でした。

“新”淀川の大凧
よく揚がった手作り凧

第24回「新春走ろうかい」ひらかたハーフマラソン

1月9日(火)、2001年淀川河川公園の最初を飾るイベントが枚方地区で盛大に行なわれました。恒例となった「新春走ろうかい」は今年で24回目、3,000人を超す参加者が全国各地から集まりました。競技は男女ハーフマラソンの他に10km・5km・3km・2kmなど全17種目を実施。枚方地区をスタート・ゴールに枚方~守口両市にまたがる淀川河川公園を使ってランナー達が健脚を競いました。沿道には参加者の家族や友人が多数集まり、やや肌寒い北風にも負けない声援が河原に響く中、1時間9分18秒で高田伸昭さんが、1時間24分36秒で能勢純子さんがゴール。ランナー達は今世紀最初のランニングを存分に楽しんだ1日でした。

★[男子]
1位  高田伸昭(枚方市)
2位  北口俊成(大東市)
3位  橋本昌典(寝屋川市)
★[女子]
1位  能勢純子(河内長野市)
2位  福本美香(大阪市)
3位  室井ひで子(守口市)

イベント案内

4月1日(日)~10日(火)

桜祭り(背割堤地区)

4月1日~4月31日

淀川テニススクール(外島・赤川・豊里・佐太西地区)

4月22日(日)

第33回守口こどもまつり(八雲地区)

5月26日(土)・27日(日)

都市緑化祭/植木市(守口地区)

5月(下旬)

ゲートボール大会(仁和寺野草地区)

6月17日(日)

小学生シングルステニス大会(外島地区)

親子3人「淀川源流」旅日記~桂川その1~

三川合流(左から桂・宇治・木津川)

自然と人々の暮らしが調和する大山崎。阪急大山崎駅前の露店には地元の野菜が並べられている。ブラブラ歩いて約5分離宮八幡宮【A】に到着。連載開始を讃えるかのごとく、梅の木に留まったヒヨドリがひと声鳴いた。ここは油座の本所であり、油商人にとってのメッカで、今も製油業者の崇敬を集めている。静かな境内で娘が駆け回る、「神様、お願い」と柏手を打つ。鳥の声と我々の声しか聞こえない。

多宝塔の礎石が残る離宮八幡宮一【A】

そこから約3分歩くと妙喜庵【B】に。室町時代後期に東福寺の春嶽(しゅんがく)という僧が開山。国宝三茶屋のひとつ、待庵(たいあん)があり、予約をすれば見学も可。千利休の造営といわれる二畳敷きの草庵風茶室、豊臣秀吉もしばしば訪れたという由緒正しい茶室。古人はどんな会話を楽しんだのだろう。

史跡巡りの案内板がある妙喜庵の門前一【B】

次に向うはアサヒビール大山崎荘美術館【C】。送迎バスも無料運行しているが歩いてみた。天王山の上がり坂を10分ほど行く。娘はベビーカーで鼻歌交じり、親は交代で息を切らして。この美術館は大正末期に建てられた近代名建築を利用したもの。屋根などを修復していたが、3月下旬には工事も終わる。館内には河井寛次郎氏をはじめとする陶芸作品がズラリ。隣接する「地中の宝箱」という建物にはモネの「睡蓮」が展示されている。芸術鑑賞の後には、2階のテラスへ。眼下に流れる桂川を眺めながらティータイムを楽しんだ。

舞台は変わり、次なる目的地の長岡天満宮【D】へ。阪急長岡天神駅から参道を10分ほど歩くと、緑に覆われた長岡天神に遭遇。社前には松や桜などの老樹に包まれた八条ヶ池が広がる。菅原道真を祀った神社で、合格祈願やお宮参りなど参拝者が絶えない。ここでもまた、娘は柏手を打つ。いったい何をお願いしているのか。

来た道をUターンして駅前に。寂照院【E】を目差してバスに乗る。娘はバスの揺れに身を任せてウトウト。京都はタケノコの名産地として名高いが、江戸時代中期、その孟宗竹の原種が中国からもたらされたのがこの地だ。まるで屏風絵や襖絵のような風景、虎でも潜んでいそうな感じがする。この古刹は弘仁10(819)年に道雄僧都が開山した海印寺が縁起。10の支院をもち隆盛を極めたが、織田信長が入洛の際に火を放ち、のちに海印寺寂照院と名を改め、現在地に再興された。

晴天に恵まれた半日、西日を背にしつつ帰路に着く。車窓に広がる桂川の広瀬を眺めつつ、次なる源流への旅へと心を馳せるのであった。

境内の竹林が美しい寂照院一【E】

*取材/2月18日(日) *絵と文/小村一也・郁慧
*小村家・プロフィール/父はプランナー兼イラストレーター。母はコピーライター。そして一人娘の東洋(とうよう)。大阪で生まれ育った私たちが、身近な自然である淀川の源流を”好奇心全開”で見聞します。

淀川河川公園施設等使用料が4月(受付)から下記の通りになりました

区分 使用料金
野球場 1時間1面当たり600円
1件2時間単位として1200円
サッカーラグビー場 1時間1面当たり600円
1件2時間単位として1200円
ディスクゴルフ場 ディスクの貸出料として大人・200円
小学生以下及び高齢者65歳以上・100円
1ラウンド2時間以内とする
ディスク持ち込みの場合は無料
パターゴルフ場 大人・平日520円、土日祭日720円
小学生以下及び高齢者65歳以上・
平日260円、土日祭日360円
1ラウンド2時間以内とする
陸上トラック 1時間1面当たり600円
1件2時間単位として1200円
ゲートボール場 1時間1面当たり200円
人工芝施設 枚方地区、鳥飼下地区野球場
及びサッカー場は
 1時間1面当たり2200円
 1件2時間単位として4400円
鳥飼下地区フットサル場は
 1時間1面当たり1000円
 1件2時間単位として2000円
※お申し込み方法及びお申し込み場所は従来通りです。

淀川河川公園と私

子ども達の豊かな感性をイベントで呼び覚ます。

幼い頃、両親の田舎・新潟にある早出川(阿賀野川の支流)でビショビショになりながら川に泳ぐ魚を素手で捕まえようと水の中を走りまわったり、葉っぱを舟の代わりにして流し友達と競争したことなど、川でしかできない遊びを楽しんだ思い出があります。

毎日、日が暮れるまで、友達と外で自分達だけの遊びを考え楽しんでいましたが、今の子ども達は自分で遊びを考えなくても玩具・遊具などが豊富にあり、遊ぶことには不自由しません。しかし、反面親から与えられた身近にある物だけでの遊びでは、考え作り出すという遊びの楽しさを奪い取られているのも、今の子ども達には仕方のないことかもしれません。

それは何故か?と思い巡らした時、自然に触れ、自然の中で遊びを生み出す機会が少なくなってきているからだと私は思います。川のイベントでも、川の水に実際触れてみて体感することがなかなかできず、川を身近に感じてもらうことができません。河川敷を使ったイベントは横に川があり、水と触れ合うチャンスがすぐそこにあるのですが、安全性などを考えると水辺に子ども達を近づけるのは容易でありません。

川にはその時々の表情があります。穏やかな顔、軽快な顔、怒った顔…。同様に自然にはいろいろな表情があり、その中での役割、決まりがあることを私はイベントを通して子ども達に伝えたいのです。私にも、男の子が二人います。私の住む神戸は山も海も近く、子ども達と自然の中で遊ぶ機会が多いのですが、子ども達の感性には驚かされることが多々あります。自分の目で見、手で触れた時に大人が考えもしない疑問を持ち、質問を投げかけてきます。その時の目はイキイキしていて興味が尽きませんし、自然が子ども達の心を揺さぶり何かを教えているようにさえ感じられます。

全てのイベントに要求されることは、参加する人達全員に興味と関心を憶えてもらい、心から楽しんでもらうという一言に尽きると思います。川のイベントでも、川に対して興味と関心を持ってもらえるような企画を考え、実行したいと願っています。その中で川の水の冷たさ、川の流れの強さ、ひいては川の大切さをそれぞれが感じ、興味を示してもれらえれば意義のあるイベントになります。
淀川は、日本でも安定した川の流れだと聞いています。そして、淀川の水は上水道をはじめとする様々な用途に利用され、私達の暮らしにとってなくてはならない大切なものとなっています。

このように、暮らしや遊びの中で淀川の水がいかに大切で貴重なものであるかを、河川敷で開催されるまたとない場一イベントを通して伝えることができたらこの上ない幸せというほかありません。
人間が生きていくためには自然=水の力がどれだけ必要なのかを、ひとりひとりが真剣に考え見つめ直す時代が、今、来ているように私は感じています。

横山 覚

淀川フェスティバルと筆者

ナンバー15

横山 覚(よこやま さとる)
昭和32年8月17日東京生まれ。「淀川フェスティバル」「大和川クリーンキャンペーン」他、数々の河川敷イベントに参画。
1990年・大阪花博「ハワイパビリオン」演出は多くの人々を魅了。現、キャッツ&イベントワークス取締役。

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